ネット上で、インドやアメリカで生み出されたかけ算の暗算テクニックが人気のようです。それぞれ、なぜそうなるのか? を考えてみましょう。
1. インド式線を使った2桁のかけ算
1.2 なぜそうなるのか?
線を書く、一桁のかけ算を考えてみましょう。
を線で考えると、3本の線と4本の線と 交わる部分(交点)を数えています。
3本の線に1本線を引くと交点は3つ。もう1本引くと、増える交点は3つ。そして、もう一本引くと、増える交点は3つ…。
と、1本線を引くと 3つずつ 交点が増えていきます。
式で表すととなります。
つまり、3本と4本の交点を数えるという行為は、のかけ算の答えを導きます。
さて、をひっ算で解くと、
それぞれを見ていくと…
一の位は
十の位は
百の位は
の計算をしています。改めて、インド式線を使ったかけ算を見ると
一・十・百 の位で それぞれ、線の交点を数えてますので、結果的に、やっている計算はひっ算と同じです。
1.3 この方式の落とし穴とメリット
交点を数えていく方法なので… とかになると、数えるのが大変です(笑)
大きな数字になると、九九を使ってひっ算をした方が、早く計算が出来ますね。
しかし!!! この インド式線かけ算は、九九を知らなくてもかけ算ができる!! という点で、九九を知らない2年生や、2桁のかけ算の導入に使うと子どもたちの理解度が増えそうですね♪
2. アメリカ式引き算を使った 2桁の暗算
確かに、わかりやすいく、簡単に暗算出来そうですね。
2.2 なぜそうなるのか?
数学的に考えてみましょう。
2桁の数 と
の積
は?
ここで、おくと、
となります。
つまり、「aとbの和を100から引いたもの」を100倍した数 と 「a と b の積」の和になります。
ここで、言葉遊びなのですが…
「aとbの和を100から引いたもの」を100倍 というのは、「a と b の積(が2桁であれば)」の左横に書けば、良いことになります。
なので、上に書いた暗算方法って便利そうですよね♪
2.3 この方式の落とし穴
確かに、最初に書いた問題、$92 \times 96$ の計算をするには、やりやすそうですが、100から離れれば離れるほど、計算が面倒なことになります。
また、 が 1桁の場合は、10の位に 0 を書くことを忘れないようにしなければいけません。
例)
さらに が 100を超えると、やり方自体が破綻します。
例)
まず 100 との差である、26 と 13 の積 が暗算するのが、ちょっと面倒。
と 先ほどの 338 を並べると… 61338となり答えにならない。
これは 338 の100の位 3 を繰上げて 61 + 3 = 64 として、64 と 38 を並べれば になりますが…
この、計算方法は 90台 90台 の時だけ、威力を発揮しそうです。
3. 二桁 × 11
3.2 なぜそうなるのか?
をひっ算で考えましょう
11 を かけるので、十の位も、一の位も 35 を書くことになります。
なので、百の位は 3 十の位は 3 + 5 = 8 一の位は 5となり、上記のテクニックが成り立ちます。
3.3 この方式の落とし穴
では ステキなテクニックに見えるかもしれませんが、
では、出来ません。
というのも、ひっ算を見れば一目瞭然ですが…
この場合、6 と 8 の間に ( 6 + 8 = ) 14 を差し込めば良いのではなく、14 の 1 を繰上げて、748 が答えとなります。
なので、 を例にあげて、「凄い!!」っていうのは 若干 ひきょうな感じがしますねw
4. まとめ
世界中には、まだまだ色々な かけ算の暗算方法があるかと思いますが…
中学受験算数においては、2桁以上のかけ算はひっ算をした方が、確実じゃないかなぁ と 思います。
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