問題文はコチラをタッチ!(問題全文が表示されます)
K君は、自宅からおばさんの家まで、スイカ2つを一人で運ぶつもりでした。ところが、弟のS君が「ぼくも手伝う!」と言ったので、次のようにしました。
1) K君とS君がそれぞれスイカを1つずつ持って、同時に自宅を出発する。
2) K君の方がS君より進む速さが速いので、おばさんの家に先に着く。そこで、すぐにスイカを置いて、S君に出会うまで引き返す。
3) K君は、S君に出会ったらすぐにS君からスイカを受け取り、すぐにおばさんの家に向かう。ここで、K君の進む速さは
- スイカを2つ持っているときは 毎分 60m
- スイカを1つ持っているときは 毎分 80m
- スイカを持っていないときは 毎分 100m
です。
スイカ2つを運び終えたK君がおばさんの家で休んでいると、後から追いかけてきたS君が到着しました。
S君 「おにいちゃん、ぼく、役に立った?」
K君 「もちろんだよ! ぼくが一人で運ぶつもりだったけど、そうするのに比べて、$\frac{\displaystyle 15}{\displaystyle 16}$ 倍の時間で運び終えられたからね。ありがとう!」
S君 「ほんと!? よかった!」
次の問に答えなさい。(1) K君が一度目におばさんの家に着いてから、二度目におばさんの家に着くまでの時間は、K君がはじめに一人でスイカ2つを運ぶのにかかると考えていた時間の何倍ですか。
(2) 引き返したK君がS君に出会った地点から、おばさんの家までの距離は、自宅からおばさんの家までの距離の何倍ですか。
(3) S君がスイカを1つ持って進む速さは毎分何mですか。
開成中学 2019年 算数入試問題より引用
解答解説
いきなりの適性試験的な出だしで、戸惑いますが… 大学入試改革に合わせた出題でしょうか!? K君は開君、S君は 成君 で 開成 の KS かな? とも勘ぐっています。
ただ、内容は典型問題ですので、一つ一つ解いていきましょう
K君の2つと1つの時間比較
問題を図で表してシンプルにする
問題文を可視化して図に表すことが大事です。
言い換えると、図の 短い青色と 短い赤色の 「かかった時間」の和は、緑色の「最初の予定時間」の何倍ですか? ときいています。
スイカ2個 と スイカ1個で比べよう
ポイントとなる3つの条件
- 自宅からおばさんの家までの距離は等しい
- スイカ2個だと 60m/分
- スイカ1個だと 80m/分
この条件から スイカ1つの場合の速さをスイカ2つの場合の速さと比べると
$\begin{eqnarray}
80 \div 60 &=& \frac{\displaystyle 80}{\displaystyle 60}\\
&=& \textcolor{red}{\frac{\displaystyle 4}{\displaystyle 3}倍}
\end{eqnarray}$
速さが $\frac{\displaystyle 4}{\displaystyle 3}$倍 という事は、同じ距離にかかる時間は 逆数の$\textcolor{red}{\frac{\displaystyle 3}{\displaystyle 4}}$倍となります。
問題文の時間を求める
全行程にかかる時間がスイカ2個(最初の予定)の場合に比べて、$\textcolor{red}{\frac{\displaystyle 15}{\displaystyle 16}}$倍になっているので、スイカ1つを運んだ時間$\frac{\displaystyle 3}{\displaystyle 4}$を引くと
$\frac{\displaystyle 15}{\displaystyle 16} – \frac{\displaystyle 3}{\displaystyle 4} = \underline{\frac{\displaystyle 3}{\displaystyle 16}\dots(1)の答}$
(2)も速さの逆数を考える
おばさんの家からS君に出会うまでの距離 と 出会ってからおばさんの家までの距離は等しくなります。
速さの比は $100 : 80 = 5 : 4$ なので、同じ距離にかかった時間の比は、逆比となり、$\textcolor{red}{4 : 5}$ となります。
(1)の問題はヒント
おばさんの家から S君に出会った場所の往復にかかった時間は、(1) の解答より $\frac{\displaystyle 3}{\displaystyle 16}$であるから、
K君がS君と出会ってからおばさんの家に行くまでの時間は、
$\frac{\displaystyle 3}{\displaystyle 16} \times \frac{\displaystyle 5}{\displaystyle 4+5} = \frac{\displaystyle 5}{\displaystyle 48}$
- 自宅からおばさんの家まで スイカ1個を運ぶ時間 $\frac{\displaystyle 3}{\displaystyle 4}$
- S君と出会ってからおばさんの家までスイカ1個を運ぶ時間 $\frac{\displaystyle 5}{\displaystyle 48}$
- どちらも 速さは $80m/分$で一定
速さが等しいので、時間の比と、距離の比は等しくなります。
よって 求める距離は、2つの時間の割合より、
$\frac{\displaystyle 5}{\displaystyle 48} \div \frac{\displaystyle 3}{\displaystyle 4} = \underline{\frac{\displaystyle 5}{\displaystyle 36}倍\dots(2)の答}$
(3)は大胆に仮定する
(2)の答えが、 $\frac{\displaystyle 5}{\displaystyle 36}$となりましたので、算数の魔法の言葉を使って、
自宅からおばさんの家まで 36 とする!!
よく 仕事算などで、「全体を1とする」と同じ感覚です。今回は (2)の答えの分母が 36でしたので 36と仮定しました。
K君がS君に出会うまでの時間
K君が自宅からおばさんの家まで1回目にかかった時間は、
$36 \div 80 = \frac{\displaystyle 9}{\displaystyle 20}$
K君がおばさんの家からS君と出会った時間は、
$36 \times \frac{\displaystyle 5}{\displaystyle 36} \div 100 = \frac{\displaystyle 1}{\displaystyle 20}$
よって、K君が 自宅からS君に出会うまでの時間は
$\begin{eqnarray}
\frac{\displaystyle 9}{\displaystyle 20} + \frac{\displaystyle 1}{\displaystyle 20} &=& \frac{\displaystyle 10}{\displaystyle 20}\\
&=& \frac{\displaystyle 1}{\displaystyle 2} \cdots A
\end{eqnarray}$
S君がK君に出会うまでの時間
S君がK君と出会った場所は
自宅から $36 \times \frac{\displaystyle 36-5}{\displaystyle 36} = 31$
先程の $A$の式より S君がK君に出会うまでの時間は
$\frac{\displaystyle 1}{\displaystyle 2}$
よって、S君が スイカ1個を持って進む速さは、
$31 \div\frac{\displaystyle 1}{\displaystyle 2} = \underline{62 m/分\dots(3)の答}$
まとめ
速さと比の基本
- 同じ距離の場合、かかった時間の比と、速さの比は、逆比となる
- 速さが同じであれば、かかった時間の比と距離の比は等しい
※ あくまでも、個人の解答例となりますので、答え 及び 解答は信頼できる塾等でご確認ください。