図1. 空間内での移動経路
典型的な移動経路問題
( 問題文より 抜粋 )
空間内または平面上にひかれた道を選んで、点Aから点Bまで移動するとき、その移動経路が何通りあるかを考えます。
(1)
一辺の長さが1の立方体を4個組み合わたものです。図の太線が、通ることが出来る道です。点Aから点Bへの最短経路は、何通りありますか。
開成中学 2019年 算数入試問題より抜粋し引用
実は、問題文章はもっと長いですが、必要な情報を抜き出すと上記になります。
出題分が 近年、長文化しています。
問題文を正確に読み取る力を求めていると思いますが、こちらは「解説ページ」ですので、正しい問題は別途ご用意ください。
太線だけを取り出す
わかりやすくるために、通ることが出来る太線だけを書き出します。
すると… 多少変形していますが、典型的な移動経路を求める問題であることが、わかります。
一つ一つの交差点に、点Aから順番に、考えられる経路数を書いていくと
10通りの経路があることがわかります。
図2. 空間内での移動経路 その2
開成中学 2019年 算数入試問題より抜粋し引用
必要な道筋を取り出す
奥行きがありますので、最短距離として移動に使うことが出来る経路は、
右→ ・ 上↑ ・ 奥↗ の3種類となります。
ポイント!
平面の経路と違い、右→ ・ 上↑ ・ 奥↗ の3方向から交わる交差点があることに注意!!
点Aから順に経路数を書いていくと…
答えは 18通り
図3. 例題を解く
次のような規則に従ってこれらの道を通り、点Aから点Bまで移動することを考えます。
規則「一回だけ左に1進み、それ以外は右または上に進む」
また、規則に従うかぎり、同じ道を2回以上通ることも可能です。
この時、《図3》の点Aから点Bまでの移動経路は10通りあります。
《図3》
開成中学 2019年 算数入試問題より抜粋し引用
ポイント
規則から「1回のみ左に1進む」事が義務付けられています。この「左に1」をどこで行うか? を 場合分けして考えます
下段で「左← 1」
下段で「左← 1」の移動を行うには、★に一度だけ行かなくてはなりません。
最初にAから★に行くための最短移動経路数 は A→★ の 1通りとなります。
ここで、「下段で 左←1 移動」を行うと、★に移動します。
あとは、★からBまでの 最短移動経路数を求めます
これで、「下段で 左←1」のときの最短移動経路は 3通り
中段で「左← 1」
中段で「左← 1」の移動を行うには、★に一度行かなくてはなりません。
点Aから★までの移動経路は、2通りあります。
ここで、「左←1 移動」を行うと、★に移動します。
★ から ★ への移動は 1通りしかありませんので、点A → ★ → ★ の移動経路数は 2通りとなります。
再出発点 ★(ここまでの 経路数は 2)から点Bまでの 移動経路を求めると、上記の図より
よって、「中段で 左←1」のときの最短移動経路は 4通り
上段で「左← 1」
上段も同様に行っていきます
- (左図) 上段で「左← 1」を行うため、一旦★へ行く経路数を求める・・・3通り
- 「左←1」移動し、点A → ★ → 再出発点★への経路数を求める・・・3通り
- 再出発点★から点Bへの経路数を求める・・・3通り
- 点A → ★ → ★ → 点B の 最短移動経路は 3通り
図3例題の答え
- 3-1. 下段で「左← 1」移動 ・・・ 3通り
- 3-2. 中段で「左← 1」移動 ・・・ 4通り
- 3-3. 上段で「左← 1」移動 ・・・ 3通り
よって、規則に従って点Aから点Bへの最短移動経路数 は 3 + 4 + 3 = 10通り
これは、問題文の通りとなっていますので、この考え方が正しいことが分かります。
図3 の 例題からわかること (マイ・ルール)
- どこで規則「左←1移動」を1回使うか? で場合分け
- 「左←1移動」を使う直前の ★ を見つける
- 点A → ★ の最短移動経路数 を求める これを ★移動数とする
- ★ → ★ は1通りなので 点A → ★ → ★ の経路数は、★移動数と同じ
- 再出発点★→点Bまでの、最短移動経路数を求める
ポイント
本題に入る前に、単純な例題《図3》でルールを自分の中でしっかり作る!!
逆に言うと、この問題は 文章を読んで、正しくルールが作れる 読解力(国語力)があるか? を試しています。
図4.「左←1」は6つの場所で
先ほどの マイ・ルール を使って解答します。
また、★までの経路数を赤色で、★から点Bまでの経路数を青色で表しています。
★までの経路数
★→点Bまでの経路数
よって 答えは、
4 + 3 + 2 + 2 + 3 +4 = 18通り
図4.「左←1」は9つの場所で
先ほどの マイ・ルール を使って解答します。
また、★までの経路数を赤色で、★から点Bまでの経路数を青色で表しています。
さらに、1つの図にまとめてしまいます。
よって答えは
10 + 6 + 3 + 8 + 9 + 8 + 3 + 6 + 10 = 63通り
まとめ
- 問題文をよく読み、自分のルール → マイ・ルールを作る
- 場合分けが、最大でも9通りなので、規則性を見つけるより 愚直に9通りやってみる!!
もし この問題が、2019×2019個の正方形を使った問題であれば、規則性を見つけなければ 受験時間内では解けません。ですが、今回 9通りなので、深く考えるより マイ・ルールに従って手を動かした方が良いと思います。
あくまでも、個人の解答例となりますので、答え 及び 解答は信頼できる塾等でご確認くださいますよう、よろしくお願い致します。