えっ!公約数が見つからない!
約分の意味とやり方
約分とは
分母と分子を公約数で割ること

$\frac{\displaystyle 4}{\displaystyle 16} = \frac{\displaystyle 2}{\displaystyle 8}$
ですが、中学受験算数において約分しなさい。というのは、最も簡単な分数(既約分数)にしなさい。という意味で使われます。
中学受験算数における約分
分母と分子を最大公約数で割り、既約分数にすること
$\frac{\displaystyle 4}{\displaystyle 16} = \frac{\displaystyle 1}{\displaystyle 4}$ これは既約分数であり、これ以上約分できない。
約分のイメージを、図で表す
$\frac{\displaystyle 1}{\displaystyle 12}$を図で表すと
1つのピザを12個に分けた1個分が$\textcolor{red}{\frac{\displaystyle 1}{\displaystyle 12}}$ですね。
また、 $\frac{\displaystyle 1}{\displaystyle 12}$を6個集めた、$\textcolor{red}{\frac{\displaystyle 6}{\displaystyle 12}}$を図で表すと、
この図から、直感的に、$\textcolor{red}{\frac{\displaystyle 6}{\displaystyle 12}=\frac{\displaystyle 1}{\displaystyle 2}}$であることが、理解できると思います。
$\frac{\displaystyle 6}{\displaystyle 12}=\frac{\displaystyle 1}{\displaystyle 2}$を計算式で表すと
$\frac{\displaystyle 6}{\displaystyle 12} = \frac{\displaystyle 6 \div 6}{\displaystyle 12 \div 6} = \frac{\displaystyle 1}{\displaystyle 2}$
よって、$\frac{\displaystyle 6}{\displaystyle 12}$ を約分すると $\frac{\displaystyle 1}{\displaystyle 2}$ になります。
約分のやり方のコツ
分子と分母を最大公約数で割れば良いのですが、実際の計算では思いついた公約数でどんどん割っていくのがコツです。
(42, 252) の公約数のうち、見つけやすい2で割って、(21, 126)
(21, 126) を、3で割って(7. 42)
(7, 42) を、7で割って(1, 6)
よって、$\frac{\displaystyle 42}{\displaystyle 252}$ を約分すると $\textcolor{red}{\frac{\displaystyle 1}{\displaystyle 6}}$ となり、これ以上簡単な分数にはなりません。
約分の裏ワザ
約分できるの?という分数を見た時
問題文で、約分しなさい。と書いてある場合、絶対に約分できます!
約分できない分数を約分しなさい。という問題を出したら… テスト製作者の責任問題ですね…
なので、絶対に約分できます。
約分の裏技
分母と分子の差から、公約数を推測する。
例題では、分子$299$と分母$437$の差ですので、$437 – 299 = 138$ この$\textcolor{red}{138}$の約数を考えましょう。
約数を求めるときは、逆さ割り算を使います。
よって、$138 = 2 \times 3 \times 23$
これより、元の $299$ と $437$ の公約数は $\textcolor{red}{2}, \textcolor{red}{3}, \textcolor{red}{23}$ と推測されます。
2,3,23の全てが約数ではありません
$299$ と $437$ の約数かどうか確かめると、 $2$, $3$ は違うので、どうやら $\textcolor{red}{23}$ のようですね。
よって、$\frac{\displaystyle 299}{\displaystyle 437} = \frac{\displaystyle 299 \div 23}{\displaystyle 437 \div 23} = \frac{\displaystyle 13}{\displaystyle 19}$ となります。
その差である 138 の約数のほうが見つけやすい
どうして裏ワザが使えるのか
数学のわかる方向けの解説です。お子さんに教えるときのヒントにしてください。
今回は、説明がし易いよう $\frac{\displaystyle B}{\displaystyle A} < 1$ としますが、$\frac{\displaystyle B}{\displaystyle A} \geq 1$でも同じとなります。
この 答えが $\frac{\displaystyle b}{\displaystyle a}$ のとき、$\frac{\displaystyle B}{\displaystyle A} = \frac{\displaystyle b\times c}{\displaystyle a\times c}$ となります。
$B = b\times c, A = a\times c$を棒グラフに表すと
では、$A – B$ はグラフ上ではどのように表せられるでしょうか。
このように、$A – B = (a – b) \textcolor{red}{\times c}$ として緑色の部分で表わせることが出来ます。
結論!
$A – B$は、$A$と$B$の公約数である$\textcolor{red}{c}$を必ず約数として持っています。
なので、$A$と$B$の公約数が見つからないときは、$\textcolor{red}{A – B}$の約数から推測してください。
※ $\frac{\displaystyle B}{\displaystyle A}$を約分しなさい。と言った問のように、必ず $(A, B)$に公約数がある場合に限ります。
まとめ
中学受験算数において、約分しなさい。という問題はほとんど出ませんが… 約分しなさいと問われたときは、必ず約分できます。
また、計算問題などの答えが、$\frac{\displaystyle 299}{\displaystyle 437}$のような、分子も分母も3桁以上になるような分数となった場合は、約分が出来ると予測されます。
※ 全国の入試問題の統計をとったわけではないのですが… 感覚論です。
ですので、約分が出来ると思うのに、約数が見つからない。と思った時は、分母と分子の差から公約数を推測してください。